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1-3.医者になるって? [留学]

1-3.医者になるって?

毎日あたまがボーっとするまで本を読んだ。内容は正直あまりわからないけれどとにかく読み続けた。本棚を一つ二つ読了したころから医局の先輩たちの態度が変わり、私を精神科に勧誘してくれるようになった。ありがたいことだ。いろいろと医師としての将来のことなど教えていただき、たくさんの本をお借りして、勉強させていただいた。それまでは医者という仕事を消極的に選択した劣等感の強いダメ学生の私だったが、これ以後完全に人が変わってしまい、実習に打ちこむ模範的な学生になってしまった、自分で言うのも恥ずかしいけれど。おそらく一番びっくりしたのは教官たちだろう。結局このような数か月を過ごしたのちに、精神科に進むことを心の中で決めた。

家族も数少ない友人たちも反対する人が多かった。家族は“役に立たないじゃないか!”を私をなじった。精神科の先輩方のなかにさえ、精神科を選択することを勧めなかった方もおられた。いわく、“大きな体をいかせ”とか、“儲からないぞ”とか、“つぶしがきかないぞ”とか。確かにそうだったなあ、と今になって思うがもう遅い。当初は手先の器用さに加えて、立体解剖の知識を比較的豊富に持っていた(つもりであった)ため、迷うことなく外科に行って人様のお役にたとう、と考えていたのだが、180度の方向転換をすることになった。その後も依怙地な私は心がわりすることなく精神科を選び、今日に至るまで精神科の医師として修業を続けている。損ばかりしているような気もするが迷いはない。

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