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ある日の出来事 –オヘア空港のジョン- [留学]

ある日の出来事 –オヘア空港のジョン-

ちょっと凹んでいるので、書いていて自分が元気になれそうなバカバカしい出来事について書いてみようと思う。

あれはたしかシカゴのオヘア空港だったと思う。知っている方も多いとは思うが、あの空港はものすごくだだ広くって、飛行機のダイヤはものすごく狂っていて、でっかいアフリカ系の人たちがものすごくたくさん歩いていて、結構やばそうな人とお金持ちそうな人が混ぜこぜになっていて、、、とにかく混沌としている空港なのだ。しかし仕事で数えきれないほどあの空港を使ってきた自分にとって、なんだか懐かしいホームグラウンドのようなところになっている。それはさておき。一見理解不能なレベルに混沌としている空港は、セキュリティチェックを受けて内部に入ってさえしまえば、飛行機を待つロビーのようなところが長い廊下の両側に整然と並んでいる、単純な設計になっている。そのロビーの合間、壁のようになったところの裏側にトイレがしつらえてある。そういう作りになっている。今回はトイレに関する話だ。食事中の方は読み進まないようにお勧めしたい。

知っている人は知っているが、アメリカの男性用のオシッコ用のトイレはかなり高いところに取り付けられており、私も最初はびっくりした。これに並んで壁を向いて虚空をにらみ、孤独な感じで用を足す。両隣に地元の方と思われる背の高い人が並ぶと、私も背丈が高いのでひけはとらないのだが、お尻の位置が二つくらい違う。もちろん地元の人のほうが高いのだ、つまり足が長い。なんだかコンプレックスを感じてしまうので、アメリカで人様と並んでオシッコをするのは、だからちょっと嫌だった。大のほうはおそらく犯罪を防止するためと思われるのだが、下の方がスカスカになっていることが多く、用を足している人の膝小僧の寸前まで外から見えてしまったりする。観察してみると結構面白く、下着をつけずにジーパンをはいている人とか、用を足すときにズボンを全て脱いでしまう人とか、鞄をトイレの床において、その上に靴を履いた足を乗せてことにあたっている人などを観察したことがある。そういったことの持つ意味について、深遠な考察を述べることは機会を改めることにして、今回はジョンとオシッコのことを書いてみたい。重ねがさね尾籠な話で恐縮だ。

私が空港で尿意を感じて、いつものように清潔そうで安全そうなトイレを五感をフルに活用して探し出し(いろいろと大変なことになっているトイレは珍しくない)、入ってみたところ便器の前は長蛇の列だった。大きなコンサートでもあったのだろうか?良く分らないが、地元の人と目される、大柄なおじさんたちが長い列を作っていたわけだ。仕方がないので私もその列のお尻に並んだ。それで自分の番を我慢強く待っていたのだが、そのうちの一列だけ、全く前に進んでいかないことに気が付いた。一番前には小柄なご老人が立っており、プルプルと小さな背中を震わせながらなんだかぶつぶつと話しているようだ。耳をそばだてていると、“俺は前立腺なんだ”“ダメなんだ”“時間がかかるんだよ”“ごめんよごめんよ”“迷惑をかけて”などとぶつぶつとつぶやきながら首を振っている。彼の背中には、孤独感とかわいそう感が濃厚に漂っている。

それでも周りのオッチャンや兄ちゃんたちは意外と優しく、自分の番が終わると彼の背中を叩いたりして、ひと声かけて去ってゆく。しかしご老人はなかなか用をたせないようだ。そうするうちに彼の名前がジョンであるらしいことがその場に居合わせた同志?達の知るところとなり、数人のオッチャン達が“頑張れジョン”“負けるなジョン””大丈夫だジョン”などと盛んにかけ声を駆けだした。ここはコンサート会場か?どうもなんだかノリがいい。それでみんな自分の用を足し終えると、彼の背中をぺしぺしやって去っていく、、、。いーい感じの一体感が漂って、まるで飲み屋で仲間と懐メロを歌っているような盛り上がりだった。公共の場なのに。トイレなのに。

それで今度は自分の番だ。“ごめんよ、前立腺が、、”律儀にもジョンは隣に並んだ私にも謝罪する。前は隠さず、ペロリと出したままだ。私はすかさず“いえいえお気になさらず、ごゆっくりどうぞ“と頭の中で作文した英文をタドタドと喋り、いそいそと自分の用を足し、少し軽くなってから、手も洗わずにジョンをペシペシしてトイレを後にしたのだった。なんだか地元の人間になったみたいで楽しかった。魔法のようなアメリカンな瞬間をその場に居合わせた同志たちと共有できた。こんなことは日本では起こらないんだろうな、と思った。


うーん、ネタはいいと思うのだがうまく書けない。不調だ、、、。
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