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素晴らしい同僚たち 7   Dr.L とH Miyazaki [留学]

素晴らしい同僚たち 7   Dr.L とH Miyazaki



Dr.LがADHDの息子を医局に連れてきたことがある。彼はまだ小さいので、たとえ自宅であっても家族の誰かが一緒にいないと法律違反?なのだそうだ。日本ではかぎっ子という存在がさほど珍しくないが、やはり文化の違いなのだろう。とにかくそういうことになっていたらしい。子守は彼女の夫の役目なのだが、今日は運悪く夫の都合がつかないのだという。実は彼女の夫は定職を持たず、そのころは街中でCoffeeの焙煎をして生活の糧を得ていた、、、のだが、実質的なBread winnerはDr.Lだったのだ。私の周りにはそういったご夫婦がたくさんおられ、珍しくはなかった。甚だしきは、夫がギタリストという人もいたっけ、ああ懐かしいNancy、あなたのことだよ。とにかくレジデントの給料で、夫と子供数人を養って?いるつわもの女性レジデントが何人かいた、という事実。何かの足しになれば、と思って、Dr.Lの夫が働いているお店にいって大量のCoffeeを購入していたのは悪くない思い出だ。

彼女の母はアメリカ原住民(だったと思う)をサポートすることに人生をかけている、人権派?弁護士だと聞いていたが、メキシコ人の男性をパートナーに選んだことと関係があるのかどうか、一家の稼ぎ頭だったとDr.Lは言っていた。つまり彼女の父は定職を持たず、子育てにいそしんでいたということだろう。我々の国では主夫と呼ばれるやつだ。いい悪いは別として、こういうのって遺伝するのかもしれない。愛すべきわが友、Dr.Lは、私には外見的には確かにメキシコの人に見えた。必ずしも痩せてはいないが、小柄であり、髪も瞳も私と同じで珍しく真っ黒なのだ。それでも何かの拍子に顔に斜めに光が当たったりすると印象が変わり、コーカシアンに見えるというユニークなヒトだった。ありがたいことに怪しい東洋の巨人である私は結構親しくしてもらっていたので、今でもたまに彼女のことを思い出す。日本びいきでMazdaの黒いクルマをとても大事に乗っていた。実は思い出ではなく現実の私は最近Mazdaのクルマを手に入れたのだが、どこかで無意識に彼女のことを思い出していたのかもしれない。恐らくお母さんの影響を受けたのだと思うが、彼女はレジデント終了後にForensic psychiatryに進んだと聞いている。なんか弁護士と精神科医のアイノコのような仕事で、説明が難しい、というか私自身よくわかっていないのだが、とりあえず普通のshrinkではない。今頃は幸せにやっているだろうか?彼女なら多分大丈夫、ニコニコ明るい毎日を過ごしているだろう。

失礼ながら名前は忘れてしまったが、とにかくADHDだという彼女の息子さんを一日医局で面倒を見るしかないということになった。彼はレジデント用のPCを一台与えられ、それでゲームをしていたのだが、決して広くはない医局の中で突然椅子から立ち上がって大声で叫んだり、興奮してKeyboardをガンガンたたいたりするので私自身は気が気ではなかったが、同僚たちはみんな育ちがよく優しいので、ニコニコと笑いながらやさしく面倒を見たものだった。私も参加して(させられて)、この悪ガキの面倒を見させられたのだが、その際突然Dr.Lが、“ねえ、Mitakaっていったことある?知ってる?”と言い出した。”Mitaka” ”Mitaka”と彼女はニコニコ繰り返す。ええと、Mitakaって、、、、ああ、そうか、まさかとは思うが三鷹のことかもしれない。それで“それって日本のこと?”と返事をしてみると、“そうそう”とさらにニコニコ。話を聞いてみると、彼女の息子はH Miyazakiの作品の大ファンで、何度か三鷹にあるジブリの美術館に家族全員で行ったことがあるとのこと。Dr.Lによれば、息子さんはジブリの漫画や映画などを与えておきさえすれば、いつまでも飽きずにおとなしく見てくれて手がかからないので、忙しい時などはとても助かるのだという。当時は結構円が高かったので、彼女はずいぶん無理をして日本を訪れたのだと思う、いいお母さんなんだな、あいつは。結局その後ねだられてH Miyazakiの日本語で書かれたOriginalの作品を何冊かプレセントすることになったのだが、家族全員からずいぶん感謝された。息子さんは本場の漫画を楽しんでくれたようだ。

日本のアニメは外国では期待を超える人気があるようで、国境であれ言葉の壁であれ、軽々と越えていくんだなあ。自分は国境を越えて米国で医師として働くためけっこう苦労したのだが、芸術はいいなあ、と、しみじみと思った。

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