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1-1.医者になるって? [留学]

1-1.医者になるって?

ひとはいろいろな理由で医者になるようだ。入学するのが難しいからという理由で医学部を目指す人、大学院に進んで研究したい人、医者になってお金持ちになりたい人、有名に?なりたい人、人の役に立ちたい人、優雅に暮らしたい人。みんなさまざまな理由で医者になる。医者を私の独断と偏見で大きなグループに分けてみると、真実をどこまでも追求したい学究型、治療に専念したい赤ひげ型、お金や権力を手に入れたい政治家型、それからユニークなライフスタイルを追求したい芸術家型、そんなところだろう。いろいろと人生を失敗してからこの道を選んだ私は、上記から選択すると赤ひげ型になるだろうか。人様のお役に立つことが私にとって職業上一番大切なことだと思っている。

とある人生の選択に派手に失敗して数年を無駄に費やした私は、当初は比較的消極的な理由で医者になる事を選んだ。そういうわけだけだからなかなか勉強に身が入らず、全くどうも情けない医学生だったと思う。精神的にもバランスが悪く、脆弱なくせにこだわりが強いので、さぞかし面倒くさい奴だっただろうと思う。学友たちよ、その節は大変お世話になりました。しかしともかく、医学部は夢破れた私を受け入れてくれた、救ってくれたのだ。全く運が良かった。ありがたいことだった。

危なっかしい学生生活を送ってなんとか進級し、いよいよ臨床実習が始まったある日、私と私の相棒は精神科に割り当てられた。彼は体格の良いスポーツマンであり、やる気と体力に満ち満ちた、心根のきれいなとてもいい奴だった。彼にはいろいろな意味で助けてもらった。彼は気が付いていないだろうけれど。どこかで会う機会を持てるのなら、あの頃の事をいろいろと話しあってみたいものだ。話が飛んでしまったが、この頼もしい相棒が“精神科がコワイ”というのだ。冷や汗を流して涙ぐんでいる。理解に苦しんだが、いつも彼にお世話になっていた私は、我々二人に割り当てられた実習のほとんど全てを受け持つことを承諾した。もちろん彼にも単位取得に必要な最低限のことはやってもらったが。

詳細は避けるが、私たちに割り当てられた患者さんは、比較的若い統合失調症の女性だった。挨拶に行くと陽だまりの中でベッドに座り込み、よだれを垂らしてボーっとしていた。ヘッドホンをして、ものすごく大きな音でなんだか激しい音楽を聴いているようだった。何を話したわけではないが、私にとってこの光景は非常にインパクトがあり、結果的にこの後の人生を左右することになってしまった。

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